Barに行こう
ふと、遥か前を思い出す機会があって、
このお仕事をする約10年前、バーを開業するに至るまでの話を書かせてもらいます。
飲食店で勤務をし続けていた20歳すぎの頃、
地元の友達が心斎橋でショットバーを任されて運営しているという話を聞き、
当時からお酒が大好きな僕は飛んで心斎橋に向かいました。
今思うと、駅としての心斎橋は知っていたものの、夜の繁華街としてのミナミはこの時が初めてだったような気がします。
キャッチに立つ黒服の人、お店への案内をしている若い女性、肩で風を切って歩くオラオラさん、
お金持ちそうなおじさんたち、飲み回るヤングなお兄さんたち、
露出が多すぎるギャル、ヤ◯ザかと思うようないでたちの強面。
光り輝くネオンの街にあいまり、なんというきらびやかな世界に感じたことか。
そんな中、人生初のミナミのショットバー。
周防町の大きめの商業ビルの地下。
暗めの照明。カウンターに少しばかりのボックス席。
これがバーなのだ。居酒屋とは全然違った。
当時好んで飲んでいたお酒はビールとコークハイ。
ジョッキではなくて、おしゃれなグラスで提供されるお酒はとても美味しい。
そこには街にいたような人たちが入れ替わりやってくる。
話しかけられることも度々、いつしか輪の中に入ってきついショットを飲んだり。
もちろんの如く通い詰めることになった僕は、気が付けば飲み回るヤングなお兄さんたちに仲間入りしていた。
イベントの時にはスタッフとして入ることもあり、界隈のコミュニティにすっかり入って連日飲み倒す生活が始まった。
Barを開業しよう
そんな飲んだくれな生活にも転機があり、
大阪市旭区で出資して物件を用意してくれる人が居て、その友達と一緒に開業をするという話がきた。
飲食店の社員でしかなかった僕が、バーを開業。
いつかは自分のお店を持ちたいと、ほとんどの飲食店の社員達はそう思っている。
いきなり叶えられるチャンス。。。やるしかない!
トントン拍子に話が進み、ダイニングバーをオープンすることに。
内装の工事、仕入れの業者さん探し、有線、ネット回線、電話回線、レジ設備などなど
ダーツも設置していた。他にもメニューを決めて、メニューブックの撮影、看板の設置。
やらないといけないことが盛りだくさんで、飲食店の営業許可なんてぎりぎりの後回し。
無事に年末前、12月上旬にオープンすることができました。
深夜営業の届出については、当時の僕はまだ知りませんでした。
知ってたとしても自分で届出をする知識もなければ、行政書士に依頼するお金もありませんでしたが。
開業したと言っても当時はまだガラケーからスマホに変わった直後。
SNSマーケティングもほぼなく、集客といえばチラシくらい。
そのチラシにすらお金を充てることができず、OPENに。
駅前の立地もあり、
近所の別の人気のバーの人や、飲み歩いてるグループの人がちらほらと来てくれるようになった。
ここでも心斎橋の時と同じようにコミュニティができていく。
お店をやって、色んな人が集まり仲良くなる。これがバーの醍醐味なのだ。
毎晩ダーツやトランプなどでお客さんと一緒に盛り上がった。
あの地域にダーツを浸透させたのは間違いなく僕たち。どんどんダーツ好きが増えていく。
毎日が楽しすぎたけれど、経営者としての自覚は全く足りていなかった。
来てくれているのは近所の人くらいで、頻度もそこまで多いわけじゃない。
また僕たちも挨拶やお返しで近隣のお店に飲みに行くことも多く、出費がかさむ。
ギリギリ、いやギリギリアウトの状態が長く続いていた。
閉店ガラガラ
お金が足りない。ランニングコストが払っていけない。
損益分岐点を越えるには、少なくとも半年以上の年月がかかる。
だけど、今月の家賃ももう既に払えない。
今考えると、相当に馬鹿である。
その場しのぎの借り入れや、分割支払いなどで回避をし続けたものの限界は見えており、
完全にアウトになる寸前にギブアップ!!話し合って閉店を決め、終了となりました。
わずかな期間でしたが、経営者としての道を歩み、
勉強不足と世間知らずと若気の至りによって、叩き落とされたのでした。
その後は、友人とも離れ、飲食店での経営を勉強しなおす日々が始まっていくのでした。。。
思い返すと、そこからがスタートでしたね。
大きな失敗が、今でも大きな糧として活きています。
あの時に最も足りていなかったのは初期費用。
そこさえ準備できる環境であれば、結果は変わっていた。もしかすると今頃10何周年を迎えているのかもね。
逆に自信を持てたのは、コミュニティを作れたこと。一つの小さなコミュニティを作ることができた。
スタッフやお客さん。無数にも、無限にも広がる可能性があったコミュニティ。
あの時のあの人達は今頃どうしているのかな。。
あのあたり久々に飲みに行ってみたいなぁなんて思うけど、それはいつになるのでしょうか。
まだまだどんどん新しいことが増えてきているので勉強は続きます。
以上、思い出した限りの出来事です。
開業を検討されている方に、おバカな笑い話と感じていただければ幸いです。